ニコニコらしさって?(3)

シリーズの最後は動画紹介で締めくくりたいと思います。

選択基準
 ・なるべくジャンルをバラバラに
 ・なるべく発表年をバラバラに
 ・ニコニコ動画を代表する動画を
 ・そしてみんながニコニコできますように!

カテゴリかぶり等いろいろあると思いますが、気にせずニコニコいきましょう!
掲載順は投稿日が古い順です。

This is NicoNico!! ニコニコ20選

  • (1) 【踊ってみた】 中曽根OFF

「踊ってみた」では懐かしい「中曽根OFF」を選んでみました(^^)
日本では珍しいフラッシュモブですが、「世界を平和にするテロシリーズ」同様、見ているだけでウキウキしてくるほんとに楽しい動画だと思います。おまいGONZO!中曽根ティーチャー!と体が勝手に動き始めるw
知らない方は元ネタを先に見たほうがより楽しめると思います。動画説明文にリンクがありますので、そちらからどうぞ。

  • (2) 【歌ってみた】 コンビニ

「歌ってみた」ではhalyosyさんのボカロカバーの中から「コンビニ」を。
歌声もアレンジも優しくてきれいでおしゃれなのに、歌詞もPVもオモシロかわいいという、2828せずにはいられない動画。
歌い出しの「セブンイレブンファミリーマート、ローソン、サンクス、…」なんて、リアルで歌いそうなのは嘉門達夫ぐらいな気がしますが、色物の境界線なんかヒョイと飛び越えて名作・傑作を生み出してしまうのがニコニコの面白いところと思います。
歌ってみたカテゴリだと、毎年この時期に何かやってくれるヒャダインさん、料理動画に自作の歌をつける歌うキッチンさんも候補にあげていました。その他、楽器も自分の声でやる「全部俺」とか女声で歌ってみたとか、一大ジャンルだけにいろいろと楽しい動画の多いカテゴリだと思います。

  • (3) 【ゲーム実況】 hacchiさん

「ゲーム実況」からはhacchiさんの伝説入り動画「The Immortal」。
ゲームプレイ動画には「オワタ式」や「友人マリオ」などの傑作が初期からあり、実況動画で最初に見たのは「嫁の挑戦」シリーズだったと記憶していますが、以来リアクションの面白い方の実況を好んで見るようになり。そんなぼくがどれか一つ選ぶなら、やはりこちら。
自分がやったらクソゲーとして放り出す類のゲームですが、どんなに困難な状況でも、むしろそれが困難であるほど「あっはっはっはwww」と笑ってしまうhacchiさんのトークが楽しくてつづきのアップされるのが毎回楽しみでした(^^)

  • (4) 【演奏してみた】 ☆ニコオケ☆

「演奏してみた」では「☆ニコニコオーケストラ☆」を選んでみました。
コンスタントに活動されていますが、ここでは初期の記念碑的な作品であるこちらを。楽しさが画面ごしに伝わってきますよね。
癒しのアコギ・へっぽこ六弦使いさん、同系統で「全部俺の笛」のrexageさん、あらゆるパートを同時に弾きこなす「楽団ひとり」エレクトーンのmaruさん、効果音までコイーンコイーン♪と再現してしまうバイオリンのてっぺい先生、サックスのS-RINさん、「ニコニコ国宝」和楽器の杵家七三先生、ファミコン実機演奏のNES BAND(マツケンさん)*1、最近では「電話でルパン」のプッシュホン奏者レグザさん、とおすすめしたいうp主さんがたくさんいます。カテゴリ自体の人気が下火で寂しいかぎりですが、今後も末永くうpオナシャス!

アイドルマスター」からはベルナール・リヨ3世さんの「シビれさせたのは 誰?」。
このサムネ顔の千早がふと点けたテレビの画面に心を奪われ、楽しくなって居ても立ってもいられなくなる様子は、正にこの動画を見ている自分の姿そのもの。
アイマスもいい動画がたくさんありますが、この次の記事でニコマス20選をやる予定なので今回あまり多くは語りません。

  • (6) 【アニメ】 さんぽ

「アニメ」枠では五月病マリオさんの「さんぽ」をチョイス。
ジブリキャラ総出演の非常にかわいらしい動画。鉄拳パラパラマンガにも通じる素朴さもいい味出てます。

  • (7) 【料理】 オウムライス

「料理」と言えばこれを選ぶしかありません。グリ子さんの「オウムライス」。
料理カテゴリの動画は「夜中に見てはいけない」という鉄則があるのですが、こちらはこのサムネのインパクトだけでおなかいっぱいですww しかし、ふつうにおいしそう。

車載動画」からはこちら。
「ヤエー v(・∀・)yaeh!」というのはライダー同士の挨拶のことですが、北海道の広さ、空の青さとあいまって、清々しいったらありゃしない(^^)
車載動画の定番は、バイクといえば北海道、自転車なら日本一周。見るようになったきっかけはあの「ちょっと自転車で日本一周してくる」シリーズ。今はジョンさんの「ニートジョンの自転車日本一周」シリーズをフォローしています。困難の多い長旅なだけに、最終回は絶対感動できそうですし、通りすがりの現地の方や志を同じくするチャリダーの方との心温まる交流の様子も見どころ。
バイクは摂津正忠さんの「バイ北(バイクで北海道目指してみた)」が有名ですが、ぼくが最初に見たのは亀倉ぱやおさんの北海道ツーリングで、そこに出てきたことから摂津さんの動画も見るようになり、…という流れでした。バイク動画と思って摂津さんのバイ北を見ると裏切られること必至ですが(^^; ああいう適当さもニコニコらしいといえばらしいと思います。

  • (9) 【東方】 Bad Apple!! 影絵PV

「東方」
…というよりは、いまや押しも押されもしないニコニコ動画の代名詞。説明不要ですね。

  • (10) 【自然】 カメ五郎さん

「自然」といって真っ先に思いつくのはやはりカメ五郎さんの「自給自足生活」。
第一シリーズの多摩川では、最初の「予告」動画で壮絶なネタバレをしてしまっているため(^^; シリーズを最後まで見てから「総集編」のつもりで見返すのがおすすめ。*2

  • (11) 【踊ってみた】 アメリカ人に踊らせてみた

このサムネでピンとこない方は、動画説明文にもあるリンクから元ネタをまずはご覧ください。
どんな曲にも合う謎のシンクロ率を誇る万能ダンスPV「アメリカ人に踊らせてみたシリーズ」、その全ての元凶は「ハレ晴レユカイ」ですが、完成度からいうと現時点で最多再生数を誇るこちらでしょうか。

  • (12) 【エンターテイメント】 ekot企画

センスのいいほっこり癒し系動画をアップしつづけているekot企画(いこきかく)の最初の動画。
ひとの笑顔を見るのが楽しくてしょうがない人たちなんだな、と思います。Improv Everywhereに比べるとこじんまりとしてますが、日本なんだからこれぐらいでちょうどいいというか、日本人でもこんなふうに笑えるんだということが再確認できて気持ちがあったかくなりました。

  • (13) 【エンターテイメント】 将棋MAD

TV映像なのでNHK杯だと思うんですが、「NHKつぎはぎニュース」の伝統を今に伝える正統MAD。笑ったといえばこれほど笑った動画はありませんww

  • (14) 【MMD】 キシドーP

MMDには専用カテゴリが無いんですよね。とはいえニコニコを代表する一大ジャンルであることに変わりはありません。MMDでは毎年2回、2月と8月にMMD杯が開催されますが、ここでは第6回MMD杯キシドーPの無冠の傑作を選びました。たくさんのMMDモデルたちが楽しそうに踊るこの動画は笑顔なしには見られません。
かっこいい動画も好きですが、ぼくが一番好きなのはこのような癒し系動画。キシドーPのほか、ぽっかぽかP、百鬼夜行Pといった方々の作品が好みで、いつも楽しみにしています。

  • (15) 【描いてみた】 25周年ゼルダ

「描いてみた」カテゴリは、今はむしろ静画のほうがメインだと思いますが一応選んでみました。神々しさすら漂うAg+さんのゼルダ記念絵。ためいきしか出てきません。
できあがりだけ見ると「なんだ、ただのプロか」と思いがちで、このようなものすごい仕事の成果をぼくたちは日々“あたりまえに”享受しており、そのため何の感慨を抱くこともなく見過ごしてしまっているのですが、制作過程を目のあたりにすることで、ものすごいことの「ものすごさ」が改めてくっきり鮮やかに理解できる。これが動画の力なのだと思います。

  • (16) 【Vocaloid】 Alice in Musicland

VOCALOID」カテゴリからは、OSTER projectさんの「Alice in Musicland」。
この作品はボーカロイドの至高の到達点の一つと思っています。

  • (17) 【エンターテイメント】 SUPER MARIO CEREMONY

ゼルダを採りあげてこちらを採りあげないわけにはいきません。マリオ生誕30周年を祝った合作MADです。
映像のスピード感と華やかさに目を奪われつつ、懐かしさがこみあげてこずにはいられない動画ですが、作り手の楽しさが手にとるように伝わってくるすばらしいMADと思います。

もういくつねるとクリスマス、ということで、こちらの動画を。
Minecraftが紹介されてニコニコで流行りはじめたのは2010年ごろからと思います。ブロックを積み上げて何かをつくる、それだけのゲームと言ってしまえばそうなんですが、ラピュタをつくったり湯屋をつくったり京都をつくったりといった再現系の動画は元ネタを知っているだけに単純に「よくつくってあるな、すごいな」と思ってしまいます。
特にこの「Minecraft東京ディズニーランドを再現プロジェクト」シリーズは、多くの人が集まって、作り手も楽しみつつ見る側を楽しませる、もちろん元ネタへのリスペクトも忘れずに、一緒にやろうよ、楽しいよ、そういう双方向感のあるところがすごくいいな、と。こういうことをやれちゃう人たちも、広い意味でキャストなんだと思います。ディズニーランドで働いてる人たちっていつも楽しそうにしてますもんね。
動画自体の構成もすばらしく、入りのワクワク感からエンディングまで、楽しさがとどまるところを知りません。そういう意味でも、あの「夢の国」をよく再現した作品かと。Bunny hop hop!

ニコニコ技術部」からは「RePRo」を選んでみました。
技術部関係の動画には「才能の無駄遣い」「努力の方向音痴」といったタグのつくものが多く、機械に笛を吹かせるというこの発想もひとによっては「誰得」認定されてしまうかもしれませんが、この素朴な笛の音を聴いて感動してしまったぼくには、もちろん選曲の妙もあったとは思いますが、誰得とも無駄遣いとも言える資格はありません。

  • (20) 【エンターテイメント】 松岡修造MAD

ぼくが「This is NicoNico!!」と思ったおすすめの動画20作品、最後にご紹介するのはこちら。
こんな動画はニコニコ以外で見られない、という意味でとてもニコニコらしい動画。


以上です。*3

終わりに

投稿年月日を見ていただいてもわかると思いますが、ニコニコにはいつだって変わらず面白い動画がアップされつづけています。
「いつまでも終わらない文化祭みたいだな」と、ぼくは思っていました。


前回の話にからめていうと、昔はキャンパスも狭かったので催し物をひととおり回って楽しむことができました。単純に楽しいし、催し物をコンプできて満足感もあるし、そこに居合わせた人々と同じ楽しみを共有できて仲間意識もめばえ、というのが在りし日のニコニコの風景でした。
今は地平線の向こうまでどこまでも広大に広がるキャンパスの中で、いろんなところでいろんなことやってるみたいだけど何だかよくわからないし、とりあえずメインステージと知り合いのやってる屋台だけ見て帰るかと、すれ違うのも話の通じないよく知らない人ばかりだし、何だか自分がStrangerになったようで居心地悪いなあと、そういう見通しの悪さ、“不全感”のあることは動かしようのない事実だと思います。


それはニコニコが、多くの人と多くの動画を集めたことの必然的な帰結であり、発展の代償である。
そういう言い方はしようと思えばできますし、それを「末路」と、表現しようと思えばできる。一方ではそんな状況にも問題なく適応して生きている人たちもいて、それを遠目にしながら、もとからいて環境の変化についていけなくなった人たちは、自分たちの遊び場を奪われたような、居場所を失ったような気がして、寂しい思いをしている。
「ニコニコらしくなくなった」ということばの裏にあるのは、そういう気持ちと状況なのではないか。


「どんなに待ちこがれたところで、バラ色の未来なんかやってきはしない。その現実を直視して、灰色の終わりなき日常を生きろ」
と、そんなすげない言葉を吐くことはぼくにはできません。じゃあ何ができるんだと言われて、ぼくに何かできるとも思われませんし、そのような義務があるわけでもなく。
とはいえ、モヤモヤした不全感の原因に明確な輪郭を与えることができたのは何らかのヒントにはなるのではないかと、これをきっかけに何かいいものが生まれたりしないかな?と、他力本願に自分は願っています…(^^;

*1:「おっほい」系だからかあまりに再生数が振るわないので、特別に紹介しちゃいます。こちらをどうぞ。 → 【NES BAND】 ドラクエ3合奏とFC版映像を合わせてみた 【DQⅢ】 - ニコニコ動画

*2:なのでリンク先も予告でなくシリーズ第1回のほうに張らせていただきました。

*3:20に絞ったため紹介できなかった作品は数多いのですが、前回説明したように、「動画数が多すぎるせいでむしろ動画が楽しめなくなる」逆説の存在を鑑み、涙をのんで未練を断ち切りました。とはいえ一つだけ、心残りは「ペニックス」を選ばなかったこと。自分はこういうネタも好きなんですが、不快感を抱かれる方もいらっしゃるだろうと思って自重しました…(^^;