アイマスとぼく

これは、アイドルマスター10周年を記念して西武ドームで開催されたライブの、昨年発売されたBDのPVです。
販促用のダイジェスト映像ながら30分超えとかものすごいボリュームですが、本編は5時間×2日分ありますからね…(^^;



ニコニコ動画に転載されたものがこちら。
視聴者のコメがたくさんついてて、人の話を聞きながら見ている感がありますが── 圧巻はやはり、12:20からの『Destiny』。



「ねえ 最初に出逢った日 覚えてるかな」
歌い出しのこの歌詞に、弾かれたように始まる思い思いのアイマス語り。


感化されて、つい書きたくなってしまいました。
「なぜ(自分が)アイマスにはまっちゃったのか」疑問に思って、前々からいろいろ考えたり調べてみたりしてたのですが。
星野源さんがこのライブを関係者席で見たときの思い出話を語っているので、それを導きの糸にしてこの機会につづってみたいと思います。
というわけで、以下本記事は「余は如何にしてアイマスPとなりし乎」という自分語りになります…





ぼくがアイマスP(アイマスのファン)になった直接のきっかけは過去にこのblogで何度か書いてますが、星野Pと同じく、2011年に放映されたアイマスのアニメ(通称アニマス)を見たことでした。
突っ込んだ話は少し後に回させていただいて、そこまでの経緯をまずは追いかけてみたいと思います。



アニマスの放映は、ニコ厨であるぼくにとって「アイマスと“最初に出逢った日”」であるはずがありません。
今となっては死語と思いますが、かつてニコニコではボカロ・東方・アイドルマスターが「御三家」と呼ばれていました。毎年2月と8月に開催される3DCG動画の投稿イベント『MMD杯』の開催告知動画でこの3つが必ず登場するのはその名残りです。



アイドルマスター」のカテゴリタグまで特別に用意されていて、ニコ厨のくせに知らなかったではモグリもいいところでしょう。
それでぼくのアイマスファーストコンタクトですが、実はラジオ番組だったりします。…というのは、次の動画を見て後から思い出したんですが(^^;



「あれ、この曲知ってる、ていうか歌える! え、・・・え?」


この『Okey-dokey』、ニコニコのサービス開始より前から放送されていたラジオ番組『アイマスレディオ』のEDとして流れていた曲。
当時ぼくはアイマスを知らなかったのですがこの番組は好きで聞いてまして。その後、転職やら現場の火消しやらに追われてラジオを聞くことができなくなり、番組を聞いていたこと自体すっかり忘れてしまってました。
何の番組かも知らずに聞いてたの、と思われるかもしれませんが、その頃はぼくにとってそれが当たり前だったのです。


前職は福祉業界で介護職をしていたのですが、ご存知のとおり勤務時間が不規則で。
施設では通常の日勤以外に、早朝から起床・朝食介助を担当する早番、夕食・入浴・就寝を担当する遅番、もちろん夜勤や宿直、また早番+遅番で間の10時〜16時が休憩扱いの「断勤」(断続勤務)というシフトまであり、オフがおかしな時間帯にくるんですね。
そんな時間をやり過ごすのに、よくウェブラジオを聞いていたのです。


ウェブラジオは今も当時もアニメやゲームの宣伝番組が多いのですが、ぼくはもともとマンガもゲームもアニメもやらない、オタク趣味とは縁遠い人間だったのでどれ一つ元の作品を知らず。*1 片っ端から聞いてみて面白かったものを聴取継続する、というスタイルで聞いていたわけです。
ラジオを気に入ったからといっても、出演者の会話を楽しんでいるだけで、原作アニメやゲームに関心を抱くことは特になく。「あー面白かった、明日もがんばるぞ」と思いながら、聞いたそばから番組の内容もパーソナリティーの名前も何もかも忘れていく。そんなリスナー生活でした。


その後ニコニコができて、ごく初期の段階からアイマス動画がブレイクしたわけです。
ぼくはγ時代、つまり2007年春からのニコニコユーザーで、時期的にその場に居合わせはしていたのですが。当時はまだそこまでニコニコにのめり込んでいたわけでなく、アニメにもゲームにもあまり関心がなく。また、これも星野Pと同じように、アイドルにも興味が無いので、そのブレイクを機にアイマス動画を積極的に見始めるということはありませんでした。
もちろん、原作を知らずに聞いていた“あのラジオ番組”とCGキャラがステージで踊っている“この動画”につながりのあることにも気づけませんでした(^^;



多少なりとアクティブなニコニコユーザーであれば、必ずどこかでアイマスとの接点ができます。
たとえば次のゲーム実況動画のうp主は、アイマスのゲームを遊ぶのはこれが初めてということでしたが、ゲーム内で『GO MY WAY!!』を聞いて「これアイドルマスターの歌やったん!?」と驚いていました。



他にも「てってってー♪」のリズムで知られる『TOWN』というゲーム内BGMや、「目と目が逢う〜」の歌詞でMADによく使われる『目が逢う瞬間(とき)』などは多くの方が耳にしたアイマス曲でしょう。


ニコニコの総合ランキングにのった動画は見ていたので、アイマスに興味がなくてもいくつか目にする機会はあり、何度もランキングにのるような動画やその製作者の方は自然と意識するようになりました。
ニコニコに投稿されるアイマス動画のことを「ニコマス」、その製作者のことを「ニコマスP」と呼びます。
ぼくが最初に「お気に入り」ユーザー登録したニコマスPは、「わかむらP」だったはずです。



今ではVOCALOIDの映像作家として知られている方ですが、以前はニコマスPをされていて。
プロになる“けじめ”としてご自身のアカウントで投稿したニコマス動画は削除されてしまいましたが、他の方のアカウントから投稿された過去作は今でもいくつか残っていて見ることができます。
ぼくがこの方を知り、お気に入り登録するきっかけとなったのはもちろんこの動画。(別人による再うp)



この動画が投稿されたのは2007年の夏ぐらいでしたっけね。
当時ぼくはアイマスをよく知らなかったものですから、これが編集によって原作ゲームの映像とはだいぶ違った感じになっているものであることをそもそも認識できてなかったんですが。単純に「センスのいい動画」だな、かっこいいなと、そう思ったんでしょう。
いま見返したら「作者が消した動画を勝手に再UPするのは如何なものか」とコメがついてました。でも、ぼくがこの再うpを知ったのは、わかむらPご本人がこれをマイリス登録したニコレポからだったりして…(^^;


それはさておき。
単にお気に入り登録するだけでなく、その動画作者のファンであることを公言するまでになったのは、こちらの動画。



ぼくはシリーズをのべ数十回プレイするほどの『逆転裁判』ファンでして。
一度やったらネタバレの推理ADVを何十回も繰り返し楽しめるのは、単に好きだからというだけでなく、ぼくのひとより足りない記憶力が大いに影響しているのは間違いありませんが(^^;
そんなぼくの目に、この動画シリーズがどのように映ったか。


キャラや絵柄のかわいらしさ・親しみやすさはもちろんのこと、原作リスペクトな小ネタをふんだんにはさみながら、度重なる“どんでん返し”に手に汗握る熱い法廷バトル。
アウチ検事のカットインやイトノコ刑事の大手柄など「これ原作で見たかった!」と喝采を送ったほどシビレましたし、第1話の最後では、感動のあまり鼻をすすりましたもん(^^;
「野生のタクシュー」タグも納得の、逆転裁判の二次創作として“最高傑作”の域に達しているのは明らかすぎるほど明らかで。連載当時は、次の動画の投稿がほんとうに待ち遠しくて待ち遠しくてしかたありませんでした。
そこまで入れ込んでたのに、それでも、原作に食指が動いたり、他のアイマスカテゴリの動画を能動的に見てみようとしたりする気は、なぜか起きなかったんですよね…



── しかし、そんな日々はいつまでも続きはしませんでした。


ファンだったので作者のblogをウェブの巡回ルートにも入れてたのですが、ある日突然、次の記事が投稿されて「なにごと!?」と驚きました。


世捨人な漫画描き

2010 - 09/18 [Sat] - 21:46

ダメだ、もうダメ。
私の中でなにかが終わった。
アイマス動画を作る気力が全くわかない。

応援してくれた方にはごめんなさい。
お休みします。


困惑し混乱した頭のまま慌てていろいろ調べた結果、この日は東京ゲームショウが開催され、その場でアイマスの次期ゲームソフト『アイドルマスター2』の詳細の発表があり、その内容がファンの失望を買うものであったことを知りました。
これが、その後ファンの間で「9・18事件」として知られるようになるできごとです。


アイマスのファンでもないのに間接的に9・18事件の当事者になってしまい。
アイマスのファンとは違う意味で大きなショックを受けて。


初めてここで、「アイドルマスターってどんなものなんだろう…?」という気持ちが芽吹いたのです。



そんな思いを抱きつつも、それでもやっぱりまだまだ腰が重く、積極的に見たり触れたり調べてみようとしたりはしませんでした。


ところで、たしかこのぐらいの時期(2010年末)に、ニコニコ公式でアニメ配信を本格的にやり始めた覚えがあるのですが。
それまでアニメを見ることがほとんど無かった自分ですが、ニコニコにはすでにどっぷりハマってしまってましたので、「ニコニコに投稿される動画のひとつ」という目線でぼくは(この歳になって!)アニメを定期視聴するようになりました。
そうこうしているうちに、今度アイマスのアニメをやるぞ、という話を聞きつけ。
あの事件から気になっていたコンテンツだし、ニコ厨として御三家のキャラの名前ぐらいは覚えてみたい。それぐらいの気持ちで配信開始を待っていました。



・・・アニメを見た結果。ぼくはアイマスPになってしまっていました。


非オタク(?)の大の男が、アイドルアニメを見てガチ泣きでした。
それはぼくにとって、ある種の「回心」体験だったと思います。
詳細は以下の記事の一番下のほうに書いてますので繰り返しを避けてここでははしょりますが。

以後、ニコマス動画を見たりアイマスの公式ラジオ番組を聞く習慣ができ、それを皮切りにずぶずぶとアイマスにハマっていくことになります。



ここまで、ぼくがアイマスにハマった経緯、「きっかけ」を書き出してみました。
しかしそれは、ぼくがアイマスに「ハマり続けている理由」そのものではありません。


不思議なことに、先にも述べたように、ぼくはそもそもアイドルに関心がなかったのです。
それどころか、アイマスにハマった後にも、アイドルに対する興味は湧いてくることがありませんでした。
「興味関心が無い」とボカして書きましたが、正直を言えば「苦手」なのです。
アイマスにハマるまでやたら腰が重かったのも、“苦手なアイドルもの”だから無意識に避けていたのだと思われます。


ではなぜ、アイマスにはこんなにハマってしまったんだろう。そして、他の「アイドルもの」にはハマらないんだろう、とずっと疑問に思っていて。考えたり調べたり、こういった本まで手を出したりしてました。



少しわかったことがあります。
いわゆる「アイドル系コンテンツ」は、リアルアイドル以外に、この界隈にはアイマスや『ラブライブ!』などがありますし、WUGやi☆Risといったほぼほぼリアルアイドルと言っていいグループもあります。
アイマスとその他のアイドル系コンテンツを比べたとき、一点だけ大きな違いと見えるものがありました。


他のアイドル系コンテンツでは、次の図式が成り立つと思います。
もちろんこれはリアルアイドルに当てはまりますが、むしろ『ラブライブ!』をはじめとしたそれ以外のコンテンツを想定してもらえたら。

コンテンツ : ファン ≒ アイドル : アイドルファン


アイマスでは、「コンテンツ」側がアイドルになるのは他と変わりないのですが・・・
次のようになるのではないでしょうか。

コンテンツ : ファン ≒ アイドル : アイドルの関係者


ファンの立ち位置が、違うんです。*2
アイマスのファンが「アイマスP」と呼ばれるのは、原作ゲームが、プレイヤーが「P(プロデューサー)」となってアイドルを育てる育成ゲームであることを踏まえたもので、VOCALOIDでの「ボカロP」という呼称の元ネタとなりました。
上の式ではちょっとボカして「関係者」という言い方をしましたが、アイドルファンの「応援」と、アイマスPの「プロデュース」は、ある意味ではたしかに「言葉の言い換え」に過ぎない面もあるものの、しかしやっぱりニュアンスが違う気がしています。


どのように言ったら伝わるか悩んだのですが、なんというか、「親心」みたいなものが混じるんです。
昨年11月にシンデレラ5周年のイベントがあり、その中で新しくアイマス入りした若手の女性声優三人が新曲『Take me☆Take you』を初披露したのをニコ生で見ていたのですが。
ぼくの気持ちは「見る」とか「ノる」とかでなく、完全に(がんばれー・・がんばれー・・)と「見守る」という感じで。曲終わりなど、ホッとしてしまいました(^^; 内二人が他コンテンツでのイベント経験者であることを事前に知っていたにも関わらず。
これはいわゆるプロデューサーに限らず、親御さんをはじめ広く「関係者」に共有される“気分”と思います。


これを「関係者感」と呼んでいいのかわかりませんが。
ぼくは、こういう気持ちにさせられることが、なぜだかとても“うれしい”んです。アイマスがからんだだけで途端に涙腺がゆるくなるのは、正にこのせいじゃないかと。
この気持ちを味わいたいがために、おそらくアイマスにハマりつづけていて、この気持ちを味わうことができない(あるいは、味わいがたい)からこそ、他のアイドル系コンテンツにハマることがないのだ。というのが、今のところの結論です。*3
だからぼくは、アイマスで演者さんから「お客さん」と呼ばれると、間違っちゃいないんですが非常に寂しい思いをしてしまいます(^^;


アイマスファンは“関係者”だから、「プロデューサー」だから、このコンテンツに対して「こうなったらいいな」、それどころか「こうしたい」→「こうしていきたい」→「よしやろう」みたいな前向きな気持ちが出てきて、様々なかたちの「プロデュース活動」が活発に展開されやすい土壌があり。
星野Pの「みんなでウソをつくってる、そして、ウソがウソじゃなくなっていく」というのは、そういう事態を指して言ったことばなんだろうと、ぼくは勝手に思っています。



・・・ただ、「音楽がいい」というのは、ぼくがアイマスにハマる絶対的な条件ではないんですけど。
MONACAの田中さんやTRYTONELABOの滝澤さんたちが「アイマスのときだけ」いい曲を書いてくれてるんなら話は別ですよ?
もちろん、コンテンツに思い入れがある分だけ受け取る側(=自分)は目いっぱいひいき目で見はしますけどもね(^^; 『M@STERPIECE』は最高だー!って。


アイマス最高ー!!/



以上、プロミ後のgdgdきわまりない自分語りにお付き合いいただきありがとうございました。
内容的に直接の関係はありませんが、次の動画をリスペクトしております。



「new vision」が何なのか結局よくわかりませんでしたが、それでもアイマスは「これからも」まだまだ続いていくってことが確認できただけで、ぼくは十分満足です(^^)


ただ一点、たしかに今年になってハッキリ変わった、シフトチェンジしたと思ったことがあります。
アイマスのライブがこの1月から(少なくとも)8月までずっと続くこと。
シンデレラ5thライブツアーとSideMのツアーイベントの詳細が発表されたとき、ぼくは正直“めまい”がしました。すごいことだし、うれしいことなんだけど、ついに物理的についていけない限界を超えられちゃったなあと寂しい思いもしたんですよね。


一年前も書いたことなんですが、ぼくには見守ることしかできませんし、見守っていきたいと、思います。

*1:松井恵理子さん・松嵜麗さんがAbemaTVでやってる女性声優のオタクトーク番組『声優アニ雑団』や松田利冴さん・颯水さんの双子がニコニコでやってる特撮ラジオ番組『松田的超英雄電波』など、話の内容についてぼくはいつも完全に置いてけぼりですよ(^^; 馴染みの人が楽しそうに話をしてるのを見てるだけでうれしいので毎週楽しみに視聴してますが。
ただ、こないだアニ雑にゲストできたときの福原綾香さんは、デビュー以来ずっと見てきたのに実はこういう人だったのかとイメージが変わったのと、その濃いトークのせいで(? 濃度判定できませんが)「遠い人」のように感じられてちょっと心中複雑でした(^^;

*2:演者さんもライブBDのオーディオコメンタリーで「プロデューサーさんたちは“こちら側”だから」ってさらっと言ってくれますし。
そもそも、タイトルの「アイドルマスター」とはプロデューサーのことですからね。アイマスの際立った特徴は「Pがいること」で、Pがいないとアイマスは始まらないのだと思いますし、だから、アニメ化に際して「アニメのP」が登場するのは、一部に「なんで男が」という声のあるのは知ってますけども、ぼくはまったく正しいことだと思っています。

*3:もう少し補足すると、アイマスでは、ファンが“関係者ヅラ”することをおおやけに認めてもらえる、というところでしょうか。
他のアイドル系コンテンツでも個人的に関係者感を覚えること自体はふつうにあることと想像します。でも、それを他の(運営・公式を含めた多くの)人が認めてくれるかは話が別ですよね。アイマスはなんたって、エンドロールにぼくらも出てますから。