仕事について

そろそろ時効と思いますので、書いてしまいます。
その仕事の仕方や、書いているものの感じから予想がついたと思いますが、自分の現職はSEです。分野を含めた言い方をすると、金融系インフラSE、ということになります。現在3年目。
前職は、福祉施設の職員をしばらくやっていました。このブログを始めた当初に過労がどうしたと書いているのは、その施設職員時代の話です。とはいえ、過労体質は今になっても全然変わらないどころか、むしろ悪化してたりして…。


以降の話が理解しやすいように、システムの開発体制について簡単に説明します。現場によっていろいろ違いがあるとは思いますので、ここで説明している内容はぼくの現場での話だということに注意していただいて。
一つのシステム開発のプロジェクトは、ユーザー側とベンダー側でそれぞれ担当者を立てて進めていきます。ユーザー側ではプロジェクトマネージャー(PM)と、その片腕になるSEが数名。さらにその下に、ユーザー受け入れテストの担当者がたくさんいます。
ベンダー側にもPMがおり、その下に現場を統括する総合リーダー(SEのうち一番位が高い人)と、システムの品質チェックを担当する品質保証エンジニア(QA)が全体のとりまとめをしています。その下にSEがたくさんおり、分野ごとに4〜5チームぐらいに分かれています。うち「業務チーム」のSEがプログラマー(PG)部隊と連携しています。
IT業界と縁のない人にはまったくピンとこない話かと思いますので、正確にとはいきませんが、ベンダー側の体制についてたとえてみると、こんな感じになります。TVドラマを製作しているとして、プロデューサーに当たるのがPM。ディレクターに当たるのがSE総合リーダーです*1。役者やエキストラとして画面に映るのがPG。ディレクターの片腕として働くのが業務SE。カメラ、大道具やスタイリストその他の「縁の下の力持ち」をやっているのがインフラSE。インフラは、カメラチーム、大道具チーム、衣装チーム、運搬チームといったように分野ごとにチームが分かれます。そして、このような体制の番組製作会社がベンダーで、これを買うテレビ局や広告代理店がユーザーに当たる、といったイメージになります。


というところで。
昨年の年初にも書いてますが、この業界に入ってすぐにあるシステムのSE部隊の一チームにヒラ作業者として参加、半年後にはそのチームのサブリーダーになりました。
そのプロジェクトが落ち着きだしたのが入って一年経ったころですが、同じPMの担当している別プロジェクトが火を吹きはじめたため、そちらのヘルプとして異動。規模がやや小さいため職務分掌を明確にはしてませんでしたが、そのプロジェクトでは、元のプロジェクトでの担当と同じ担当のチームにて、事実上のチームリーダーとして立ち回っていました。
その半年後には、インフラSE部隊の総合リーダーに当たる人が一身上の都合でしばらく休職することとなり、その代理を務めるようになりました。
さらにその半年後、そのプロジェクトがシステムのリリースを終えてヒマになる見通しでしたが、ちょうどうまい具合に、元いたシステムで新しい開発案件が入れ替わりで立ち上がるという話を聞きつけました。


ここまでの流れでわかるとおり、ぼくは、この仕事を始めて半年でサブチームリーダーになり、一年でチームリーダーになり、一年半で総合リーダー代理になる、という異常な歩み方をしています。これが、介護職の人間が転職してたった一年半のあいだのできごとですよ? 経歴と業務経験からふつうに考えて、たいしたITスキルがあるようにも思えないでしょう。でも、まさにその通りなんですよね。
リーダーとしてやることってどんなものかというと、システム開発の方針を立てたり、設計レビューをしたり、関係各所と調整したり、スケジュールを引いたり、顧客に説明や相談をしたり、作業者のお尻を叩いたり、勉強会を主催したり、…といった感じで、あまり技術者らしいことをしないんですよ。自分たちで開発しているサーバへログインするパスワードも教えてもらわないとわからないぐらいに、実作業から離れた仕事内容になる。他の業界でもリーダー職を担当すれば多かれ少なかれやるようなことばかりと思います。
そこそこ社会人をつづけてきた関係もあり、ぼくには、ITスキルはありませんがリーダースキルは多少ありました。一方、チームの他のメンツは、ぼくと真逆の人たちばかりだったんですね。そんなこんなで適材適所ということで、あれよあれよという間にリーダー役に押し上げられてしまい、結局、プロジェクトとしてはそれで正解で、吹き始めた火を完全に鎮火することができたのですが、ぼく個人としては、ITスキルもないうちにさっさとスキルの身につかない立場にされてしまって、かなりの焦りを覚えていました。


そんなところで、元のシステムで未経験の作業の担当者として新規開発案件に参加させてもらえる、という話を聞いたらあーた。一も二もなく、ぼくは飛び込ませてもらいましたよ。一年以上も実作業から遠ざかっていて、本当に、作業がしたかった。スキルを身につけたかった!
その新規案件は“超特急”のプロジェクトで、開発期間が大変短かったため、結局これまで以上の激務に。体制表上は一ヒラ作業担当者にしか見えませんが、その実、自分の担当作業の他、全チームの面倒を見るという離れ業を演じざるをえませんでした。着任後しばらくは、起きている時間のほとんどすべて仕事、家に帰れたのは数えるほど、という恐ろしい状態でした…。
その案件がこないだ成果物のリリースを終え、現在落ち着き中で、いろいろ細々落ち穂拾いを行なっているところです。


こんな感じで、そのときどきの緩急が非常に激しいのが今の仕事であり、特に自分はそのときどきの一番大変な役割を担い(担わされ)つづけてきたこともあって、体が常に“労働モード”になってしまっており、はじめに書いたとおりの状況となっています。
これからもこんな感じで、たまに更新すると思いますので、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

*1:経産省認定の国家試験である「情報処理技術者試験」、2009年度改訂の新制度上の区分でいえば、「システムアーキテクト」に該当する役割、というところでしょうか? 今年受けてみるつもりなのでまだ詳細を知りません(^^;