過労について(3)

前回集中的にとりあげた大野正和さんのホームページ、あるとは知りませんでした……、リサーチ不足orz
言い訳になりますが(^^; サイトのタイトルに「名前」が入ってたほうがいいかもしれませんね。Googleで名前を引くと、他の検索エンジンも似たようなことをしているでしょうが、タイトルに名前の入っているもののほうが優先的に表示されますし、検索語を強調表示するため本文よりタイトルのほうが明らかに目につきやすく、タイトルに名前がないものをスルーしてしまう可能性が高まるからです。というかしてしまってました(^^;;;

示されたグラフを見るかぎり、週60時間以上労働者数がここずっと横ばいであるのは確かなようです。
長時間労働が必ずしも過労死に結びつくわけではない、というのは、いろいろグラフを漁っていて感じました。日本より労働時間の長い国は他にもたくさんあるし、同じ日本でも過去にもっと長い時代はいくらでもあった。なのになぜ、現代日本の過労死がクローズアップできるのか。『過労死・過労自殺の心理と職場』にも書いてあったことですが、ウェブ上では大野さんに紹介された上の論文にあたっていただきたいです。
ぼくは、たとえ長時間労働→過労死でないといっても、「文化的で健康な最低限度の生活」を営むためには、やはりヨーロッパ並みになるべきと思います*1。学生時代に井上俊『死にがいの喪失』を読んで、マルクスの娘婿が「怠ける権利」を提唱していた、という話のあったのをもっとも心に留めていた人間ですしね。そのへんの話はまた機会があれば。


以降はぼく自身の経験の話です。こんな事例もある、ということで。
ぼくがいた職場では、事業所の減収から「これからは非常勤化だ!」のかけ声のもと、長い(=給与の高い)正社員が他の新設部署に異動させられて口減らしされ、残った人間で代わりにたくさん入ってきた新人非常勤をまとめていかなければならない、ということに。上司との面談で話したぼく自身のことばによれば、それは「自分以外はなぜかみんな小学生、というチームでサッカーをしているみたいだ」という状況でした。
ベテランが他へ飛ばされたあおりを食って、ぼくがヒラでありながら中核社員としてがんばらねばならなくなったんですが、上司が無責任な人だったこと、ぼくが中堅社員であり、その上「マジメ」を絵に描いて額に飾ったような性格だったことから、職場で生じるいろいろな問題の解決を、本来それを担当すべき上司にではなく、「あの人は聞いてくれないから」と言ってヒラのぼくに頼みにくる人が後を絶ちませんでした。
サービス業の一種でしたが、このことによるサービスの質の低下は免れず、以前を知る顧客やスタッフからは「いったいどうしちゃったのよ」という突き上げがやみません。新年度になって他部署と合同でイベント企画運営の仕事がさらに新設されましたが、他事業所はこちらの内情など関知しませんから、その仕事を「キツイから」と断れないんですね。もともとサービス残業のかさんでいたところに追い打ちをかけられた感じで、その上その内容も会社のメンツのためにとりあえずやっとけみたいな意味の見いだせないものでした。
その他いろいろ仕事の歪みが重なって、不眠と頭痛が始まり心身ともに参ってしまい、会社の前途に絶望し……というところで、転職のチャンスがある今のうちに、と退職したのです。そんなわけで、『過労死・過労自殺の心理と職場』を読んだところ大変身につまされる思いがしたのでした。

*1:もちろん大野さんがそれに反対しているわけではありません。誤解のないよう。