みんなニコニコできる方法を少し考えてみた(あとがきに代えて)

自分はただの見る専ですが、もしぼくが動画投稿者だったとしたら何がうれしいかを考えてみると。
やっぱり「視聴者のポジティブな反応」なんですよね。


「再生数を稼ぐことよりも、何をつくりたいかのほうが大事」
動画作成講座をいくつか見るとこのような話が必ず出てくるものです。もちろん「何をつくりたいか」が初めに無ければ、何も始めることはできません。その意味でこの指摘はまったく正しいと思います。
正しいとは思いますがしかし、それだけじゃないよね?と。「何をつくりたいか」だけなら、つくった後で別に公開しなくてもいいわけです。なのに公開するのは、「ひとに見てもらいたいから」そして「見て喜んでほしいから」、少なくともぼくが投稿者ならそう思います。
そこで「視聴者の反応」を確認する手段としてニコニコが公式的に用意している仕掛けが、「再生数」であり、「マイリス数」であり、「コメント」であり、そして「ニコられ」ということになりますが*1、それぞれ受け取り方が違っています。


再生数はもちろん「人気」や「話題」のもっとも基本的なバロメーターで、各種のランキングもこの値がベースになっています。ただ、再生数って、投稿者から見た「視聴者の反応」としては、ちょっと弱いんですよね。途中で閉じられた場合も+1されるので。
たとえば、このblogにはカウンターがついててページが開かれるたびに回るんですが、無名のこのblogが記事を投稿してない日でも一日100はカウントアップされているのはなぜだろうと。ぼくはこれ、botかなと思っているのですが。
なぜbotかというと、カウントアップされても「コメントされるわけでもなく」「どこから来たか(どこかで話題になったとか)も不明で」「何もしてなくても“自動的に”増えていく」ように感じられるからで、もうちょっと言えば「その数字の裏側に具体的な人がいることの感触に乏しい」から。
そう考えると、再生数以外の仕掛けのほうが「視聴者の反応」として具体的に伝わってくるものがあります。


ところで、たまに見かける「コメント<マイリス」というタグ。
「黙ってマイリス」タグのせいというわけでもないでしょうが、ぼくはこのタグ、意味が無いと思ってまして。というのも、今どきほとんどの動画が実際に「コメント<マイリス」状態になっているように思われるからです。 自己紹介のときに「私は日本人です」ってわざわざ言わないのと同じで、むしろ「コメント>マイリス」タグをつけようよと、ぼくは日頃思うわけですが。
ふだん総合ランキングしか見ない方は「コメント>マイリス」と思われるかもしれませんが、そんな人目につくところにあがるような動画は「口コミで広まった超話題作」であるのがふつうで、いい意味でも悪い意味でも“ツッコミどころ満載”、みんながコメントしたくなるような動画ばかりです。
一日あたりの投稿動画数が6000、うちランキング入りが100だとして、ランクインは全体の上位1.7%、受験偏差値に換算して「71以上」ですから、これは全然“ふつうの動画のあり方”ではない。
こうした指標の数値の関係は現状、一般的には「再生数>>マイリス>コメント」という感じになっているようです。こちらの記事などが参考になります。

「信頼のマイリス率」という言葉があり、これは良作動画を見つける際の有効な指標となる「再生数に対するマイリス数の比率(マイリス数/再生数)」を言ったものなのですが*2、これが「約一割」とされています。そうはいっても再生数10でマイリス1は参考になりませんが、再生数1000でマイリス100なら立派に傑作の可能性があります。
ぼくもふだんからマイリス率を気にして見ていますが*3、ぼくの経験上、たいていの動画は0〜1%で、3%を越えたら良作である可能性が高いみたいです。
こう書いてきて何が言いたいかというと、要するに、再生数に対してマイリス数は通常1%あるか無いかで、コメント数はさらに少ない、ということ。動画は見られても、実際にはマイリスもコメントもされることはあまりない。「サイレントマジョリティ」は本当だったというわけですね。


自分がもし投稿者だったとしたら、何が一番悲しいかといえばもちろん再生数が自分だけだったりした場合だと思いますが(^^; それよりもずっとありがちで同じぐらい悲しいのは、ニコニコなのにコメントが1つもつかない場合かな、と。
ぼく自身はできるだけコメントするようにしてまして、とはいえ「うぽつ!」「乙でしたー」しか書いてないことも多々あるわけですが(^^; 単なる見る専であるにもかかわらず、なぜか「ニコられ」が50を超えているのはこうして書いたコメやつけたタグがニコられているため。
そしてこのことが、元は「ニコる」否定派だったぼくが肯定派に傾いてきた一番の原因だったりするのです。
そのニコられのほとんどは、初めに危惧していたとおりやっぱり「誤爆」なんですよね。「wwww」とか「8888」がニコられてるのってどう見ても誤爆以外の何者でもない。ただ、中には、これは明らかに誤爆じゃなさそうだ、というものもあるわけですよ。ハッキリしているのは、その動画の作者さんにニコってもらったもの。ぼくのつけたタグやコメントを気に入ってもらえたようで、作者直々にニコられたときには「おお〜!」と驚いてしまいました。


コメントは反応がダイレクトに伝わってくるのですが、それが「ネガティブな反応」にもなる、という点が他とまったく異なるところ。
その動画に自分の意に沿わない部分があったとして、たとえば「アドバイス」や「リクエスト」みたいなかたちなら建設的でGoodだと思うんですが、見る人を不快にさせるだけの罵詈雑言、マナーを弁えない“ラクガキ”的なコメも多く、だからこそNG機能が活躍してしまうのは悲しむべき現実。
動画投稿サイトは動画が投稿されなければそもそも成り立たないわけで、投稿者の方はもっとリスペクトされていいんじゃないかな、と、視聴者の気持ちが伝わって「次も投稿したいな」「もっと喜ばれるものを作りたいな」と思ってもらえるようになって、投稿者→視聴者→投稿者→視聴者→… と、きもちが前向きにぐるぐる回りつづけるポジティブフィードバックループをつくれないものか、と。そんなことを思ってしまうわけです。*4 *5
そうはいっても、多くの人は実際サイレントマジョリティですから、あまりエネルギーのかかるようなことは見向きもされないわけで。それで思ったのは、「ニコる」ってもっと有効活用できないものか、と。


「ニコる」って、「いいね!」(Like)とか拍手ボタンとかはてなスターとか、そういうのと同じコンセプトで導入されたものだと思うんですが。邪魔と思うのはあくまでコメントに対するニコるであって、動画や投稿者はもっとニコられていいと思うし、もっとニコりやすくなっていいと思うんですよね。
どうせなら、公式ニコ生のアンケートみたいに、動画の最後にニコるボタンが出てきて単に押すだけ、みたいのでもいいんじゃないか、などと考えてみたのですが、どうでしょうか。
実は視聴者からの一番ポジティブな評価って「ウォッチリスト登録」だと思うんですけど、これってその視聴者から反応があるのは登録ボタンを押した最初の一回コッキリというのが投稿者としてはつまらないところかと思います。
ニコニコ動画アワードもやらなくなっちゃったし。投稿者が日の目を見る機会、もうちょっとどうにかならないものかな、と。公式でもマイリス率が表示されて、マイリス率順に並べ替えられるとかできたら、隠れた名作も隠れてばかりいられなくなるんではないか、などと思ってみたり。

*1:「レビュー」や「広告」、「ニコレポコメント」や「フレンド申請」等と反応を返す仕掛けは他にもありますが、ハードル高めで誰もが気軽に利用できる手段でないため、ここでは考慮外としています。

*2:なぜこれが良作動画の指標となるのかといえば、「隠れた名作」「過剰埋没動画」というタグの存在が示すように、良作にもかかわらず再生数が振るわない場合があるため、「再生数が少ない=良作動画でない」とは言えないからです。
公式ニコ生でたとえるなら「来場者数」に対応するのが再生数であり、「アンケート」に対応するのがマイリス率と言えます。…と言えば、公式ニコ生を見たことのある方には伝わるのではないかと。そのため、マイリス率を指標にした次のような動画紹介動画もあったりするのです。→ボーカロイドオリジナル曲 マイリス度ランキング #310 by kayadan その他/動画 - ニコニコ動画MMD杯をマイリスト率で振り返る 11 by dsk エンターテイメント/動画 - ニコニコ動画

*3:自分でいちいち計算しなくても、こうしたものを利用すればいつでも確認できますよ。ぼくもこちらを利用してます。→Nico Mylist Rate for Greasemonkey

*4:「ポジティブフィードバックループ」云々、というのは要するに承認欲求に関わる話ですが、ぼく自身のこういう考え方の直接の元ネタはこちらの本。→松本元『愛は脳を活性化する』asin:4000065424

*5:…と、ここまで書いてきて、なんか昔もこんなこと書いた覚えがあるな、と思ったら、この記事とモチーフが通底しているようです。これも8年以上前の書きものですね(^^; 昔から考えてることがあまり変わんないんだなあ… →ウェブの広がりと参入障壁 - hideo's hideout.ウェブの広がりと参入障壁(2) - hideo's hideout.ウェブの広がりと参入障壁(3) - hideo's hideout.