宮本直美『宝塚ファンの社会学』

「ファン心理」というものを知りたくて、以前からボチボチと本を読んでました。たとえば『ファンとブームの社会心理』asin:4781907245とか、これを読んだのはだいぶと大昔ですが『サブカルチャー神話解体』asin:4480423079だとか。
そんなぼくが、「あとで読む」にしまったままにしていたこの本を手にする気になったのは──


宝塚ファンの社会学―スターは劇場の外で作られる (青弓社ライブラリー)

宝塚ファンの社会学―スターは劇場の外で作られる (青弓社ライブラリー)

皆さんご存知かと思いますが、こちらの動画を見たことがきっかけ。



ぼくが「宝塚」について知っていることといえば、「出演者は女性だけ」「男役と娘役、トップスターという役割がある」「学校がある」「帝国歌劇団のモデル」「ベルサイユのばら」ぐらいのものでして(^^; 気になりつつも縁遠い存在、ということで、この本になかなか手が出せずにいたんですね。
実際手にとって読んでみた感想ですが、この本、題名に「社会学」とあるのは看板に偽りあり。学術的な話はほぼゼロなので社会学の本という印象はまったく受けませんでした。その意味で「肩透かしを食った」のはたしかなことでしたが、とは言え「食い足りなかった」かと言えばそんなことはなく。
本書は、ファンクラブの活動経験のある大学教授が当時をふりかえってなるべく客観的に宝塚のファンクラブの生態を描写してみた“ルポ”。読む限り宝塚のファンクラブのあり方は他の芸能人のそれとはかなり異質な感じを受けます。「パトロン」とか「宗教団体」とかいったほうがむしろマッチしているような…


この本の中でよく言及されているのですが、「ガード」というファン行動が興味深かったです。
Google画像検索で「宝塚 ファンクラブ ガード」として検索すると、白装束(白とは限りませんが)の集団が宝塚スターを囲む写真画像が出てきます。とても“宗教”っぽく見えるんですが、これが何をしているところかというと、入り待ち・出待ちで一般のファンがスターに殺到しないようにファンクラブ会員が同じ服を着て「人垣」をつくってるんですね。
気持ちはよく理解できるので、もうちょっとたとえば“スタッフっぽい”服装にすればそこまで異様な感じは受けないんじゃないかと思うんですが…(^^;
「異文化」というものは得てして“奇異”に映るもので、外側から自分とは無関係と思って見ている限り「ヘン」と感じてしまうんですが、一度内側に足を踏み入れてみるとそれが「当たり前」になって、むしろどんどん深みにハマって「世間様」との乖離が大きくなっていくものなので。


そういう意味では、たとえば、4年前にこんなことを言っていた人が、


今では…