2010春季情報処理技術者試験

昨日、春の情報処理技術者試験の合格発表がありました。



合格してました。これで4連勝です(^^)v


情報処理技術者試験」というのは経産省認定の国家試験です。
資格には大きく分けて、「業務独占資格」、「名称独占資格」、そして「認定資格」の3種類がありますが、この試験は一番最後の認定資格に含まれます。業務独占というのは医師や弁護士がその代表で、「もってなければその仕事をしてはいけない」というもの、名称独占は中小企業診断士社会福祉士が当てはまりますが、「もってなければその名を名乗ってはいけない」というもの。これらに比べ、認定資格は「認定しますよ」というだけで、もってなくても名乗っていいし、特に罰則があるわけでもありません。
資格なんかあってもしょうがない。この業界ではそう言われることが多く、ぼく自身その意見に半ば賛成しています。*1その理由はいろいろあるのですがそのうちの一つとして、このように資格に明確な「効力」がないことが挙げられるかもしれません。にも関わらず、ぼくが資格取得に積極的な理由については、もう少し後で述べます。


IT業界には、他の業界と比べてひどくウジャウジャと“腐るほど”資格があります。ITの各種要素技術について、それを広めようとする各社が認定資格をつくるからです。全体でどれぐらいあるのかはよくわかりませんが、2chのIT資格ランキングを見るかぎり数十はあるような…。
そんなだからか、このような現状を指して「資格商法」と言われることもしばしばです。


資格商法 - Wikipedia


そういうわけで、「どの資格なら“アリ”なのか?」ということから、IT系ニュースサイト「ITpro」では、毎年次のようなランキングを発表しています。


2010年版「いる資格、いらない資格」 - 2010年版「いる資格、いらない資格」 ---目次:ITpro


…というところで。


ぼくが情報処理技術者試験の受験をするのは主に次の4つの理由によります。1、試験が対象とする分野についての勉強が進むこと、見通しがよくなること。2、合格一時金がもらえること(^^; 3、営業効果があること。4、試験会場はふだん行かないところなので、いい気分転換になること。
一歩でも上を目指したい。この業界は知識産業であり、頭脳労働の現場ですから、そのような意欲のある人は積極的にいろいろな手段をとおして勉強しています。そのような勉強法の中で、基礎に毛が生えたレベルの範囲では、この資格の試験勉強を通して学ぶことは「必要なことを広く満遍なく」学習できるという点でとても効率のいい勉強法なのではないか、とぼくは考えています。
いま直接担当している作業に関しての勉強や、雑誌やニュースサイトの閲覧による勉強はごく一般的ですが、それではその都度の断片的な知識しか得ることができません。単行本や専門サイトが対象でも事情はそう大きく変わりません。また、教本を読むだけで運転できるようにならないのと同様、ただ知識に接するだけでは問題解決能力はあまり養われません。その意味で、実践では不足することについて試験を通して擬似的とはいえ問題解決の経験を積むということは、自分の実体験からして、プラスに作用していると感じています。
必要な勉強をしていて、しかもお金がもらえるなら一石二鳥でしょう。その上、この業界ではその構造上、現場や職場(会社)の切替がひんぱんに起こります。そのたびに採用面接があるのですが、一定以上のレベルの資格を取得していると評価がよいほうに傾きやすくなるようです。


ぼくが受けているのは国家試験のみで、民間でやっているベンダ試験には見向きしないのですが、同業の方には上記からその理由の推測がつくと思います。
ベンダ試験は対象範囲が狭い上、「やり方」は身につきますが「考え方」のほうが一般的に身につかないところが引っかかります。*2 また、受験料が高いので(国家試験は5100円なのに対してベンダ試験は数万〜数十万)、受験料が自腹のぼくは合格報酬のリターンがそのぶんだけ食われてしまいます。その上、先に紹介した「いる資格・いらない資格」の記事を見てわかるように、国家試験に比べ営業効果が劣るのです。国家試験に比べていいところが見つかりません。


ぼくは年を食ってからこの業界に入ってきた関係もあり、転職当初は早急なキャッチアップと、そして「売り」を身につけることが必要でした。もともと趣味でプログラムを書いていたということもあり、上司から「君は基本情報(基本情報処理技術者)を取るより、いきなりソフ開ソフトウェア開発技術者。現在の応用情報処理技術者にあたる)にチャレンジしてみたらどうだろう」と勧められました。そんなわけで、まずソフ開を取ることが目標に。
一年目の秋に受験することになりましたが、配属された現場が修羅場のようになっていて満足に勉強できませんでした。したことといえば、午前試験の対策のために古本で買った基本情報の午前対策問題集を通勤中に読んだぐらい。そんなわけで、過去問をやっていないばかりか試験範囲も知らないため、「これはダメだろう」と思っていたのですが、受けてみると意外なほど易しかったため、すんなり通ってしまいました。*3
その後は、二年目の春が本当にどうしようもないほど忙しかったので諦めましたが*4、二年目の秋以降は継続して受験しています。戦績をまとめると…

時期 試験 合否
一年目秋 ソフトウェア開発技術者 合格
二年目秋 テクニカルエンジニア(ネットワーク) 不合格
三年目春 テクニカルエンジニア(データベース) 不合格
三年目秋 テクニカルエンジニア(ネットワーク) 合格
四年目春 データベーススペシャリスト 合格
四年目秋 システムアーキテクト 合格
五年目春 情報セキュリティスペシャリスト 合格


ネットワークとデータベースの試験はいずれも一回目を落として二回目でリベンジしました。高度(高度情報処理技術者試験。応用より上の区分)となるとさすがにソフ開のようには無勉で一発合格させてもらえず、反省して一年の準備期間を経たあとで取得しています。
システムアーキテクトではまた忙しくて勉強できず、受験料を払った以上記念受験でもしないともったいないと思って受けたのですが、これも想定外に易しかったのと、難関の論文についてはご覧のとおり、長文記述は大好きなので(^^; やってきたことを書いただけであっさり通ってしまいました。


今後の受験計画ですが、今年の秋はITサービスマネージャ、来春はプロジェクトマネージャ、そしてその秋にITストラテジストを予定しています。
ぼくは毎年違うシステムのプロジェクトに関わっているのですが、今年も辞令が出て来月から新システムの担当になることになりました。そこでは久しぶりにマネジメントを任されるようなので、来春の受験に向けた実地の勉強のいい機会だと思ってがんばろうと思います。

*1:その一番大きな理由は、そのような意見を持つ人はたいがい同じような経験をしているからそう言うのでしょうが、「資格はもってるけど全然使えない」人を何人か現に見てきたためです。その人たちが共通してもっていたのが「ORACLE MASTER」だったので、ぼくはこのベンダ試験について大きな偏見をもっています(^^;

*2:ぼくは(他の記事を見るとわかるかと思いますが)もともと哲学野郎で、原理・原則とか意義・目的というものを最重要視するためです。それに設計開発の実務上、やり方(実装・定義方法)はわからなければググればいいだけの話ですが、考え方はそれがわかっていないとどうしようもありません。

*3:ぼくはもともと数学野郎でもあり、ソフ開で難関とされる「アルゴリズム」の問題はむしろ趣味の範疇だったためと思われます(^^;

*4:以前にも書いたかもしれませんが、開発期間中は月の労働時間が300時間を下回ることはなく、ピークの数ヶ月間は毎月350〜400時間超ぐらい働いています。こうなると家にはほとんど帰れません…。こんなに働いているのにどうやって試験勉強してるんだ、とよく言われます(^^;