生活リストラ作戦(4)

生活リストラの最後の一手は、資産運用です(生活リストラシリーズはあと少しつづきますが)。

証券

見直し前:

証券 種類 主な用途
なし

見直し後:

証券 種類 主な用途
SBI証券 ネット 国内現物株,投信(国内株式,外国株式/債券/REIT),外貨MMF(米ドル/ユーロ/豪ドル)
楽天証券 ネット MRF


投資について、ぼくは敷居の高さを感じてそれをまたがずに今まできました。その敷居の高さは、「現在」ではただの思い込みに過ぎないということを、生活リストラのために読んだ本を通じて知りました(次回に紹介します)。
ちなみにぼくが「敷居」と思っていたことをまとめると…

想像上の敷居 現時点の実際
仕事をしている平日昼間でないと買えない。取引所が開いている時間に競り注文を出さないと買うことができない。 注文自体は「夜間」や「休日」でも出せる。リアルタイムで取引するのに比べ値動きを見ながら注文が出せないという意味で不利なのは本当。
初期費用からしてバカ高い。何十万も用意しなければ初めの一歩が踏み出せない。 投信なら一万円から買えるし、数万円で買える株式も多い。たとえば三菱UFJは売買単位で買って5万円弱(2010/06現在)。ミニ株やるいとうなどを利用すると「千円からの投資」も可能。手数料も10万円の株を買って100円と、昔に比べて格段に安くなった。
投資は賭麻雀のようなもの。知識と経験の無い人間はカモにされるだけで、全体としてゼロサムだとしても初心者にとって収益の期待値は常にマイナス。 個別株や短期スパンで見ると上下するが、全体を長期で見れば基本的に右肩上がりで、期待値は「プラス」になるのが一般的。堅実投資なら二〜三十年かけて資産を倍近くすることは可能。
投資は金持ちや退職金をもらった高齢者がやるもので、若いうちからやることではない。 複利を考えると、資産は「加速度的」に増えるので、投資を始めるのは早ければ早いほどよい。歳をとってから始めても加速しきる前に人生が終わってしまう。若いうちから始めたほうが、加速の恩恵を十分に得ることができてむしろ有利。


これらは、ネット証券が生まれたこととインデックス投資ができるようになったことで実現したことだと思われるので、その意味では10年ぐらい前からこのように変わってきたとも言えます。


ぼくの投資方針は、いくつか読んだインデックス投資の本に大きな影響を受けています。
資産配分としては大雑把に国内株式4割、海外先進国株式と新興国株式、外国債券がそれぞれ2割ずつ、を目標としていますが、これは過去データからするとあまり効率のよい組合せではないようです(^^; 現状はこの目標値とはだいぶ異なっていて、国内株式が5割強、外国株式が合わせて2割、外国債券が2割強ということで、はじいてみたところ期待リターン3.5%、リスク13%のそこそこ効率のよい組合せとわかりました。*1
目標設定の基本的な考え方としては、まだ若いのである程度リスクをとりたい、日本の将来は暗めと思っているので国内の割合を減らしたい、特に国債などもっての外、とはいえ日本で暮らしていることを考えると資産の国際化を推し進めるのにも多少抵抗がある…といった感じです。
実際の資産配分については、5月のギリシャショックに乗じて適当に買っていたらこうなった*2、というのが本当だったりするのですが(^^; 景気がまだ底に近いこと、日本の景気回復は遅れている(つまり回復の伸び代が比較的大きい)というニュースがあったこと、円高がつづいていること。そういった現状からして、国内株式に重点を置いたほうが今は有利じゃないかと思ったのでこうなりました。円安になると外国資産がその割合だけ円建てで大きくなりますが、円安になると国内も景気が上向くので、国内資産も負けずに大きくなるんじゃないかな…と皮算用中です。*3


もっている投信はすべて、代表的なインデックスに連動するもののうち手数料が一番安いものを選んでいます。ETFを買おうか迷ったんですが、国内で手数料の安いものは流動性が低く(買いたいときに買いにくく、売りたいときに売りにくい)、海外(というかアメリカ)は証券会社の販売手数料が高め&口座が一般になって面倒、というデメリットが心理的に重くて、ヘタレてやめました(^^; 外貨MMFをいくつかもっているのは、海外ETFや外国長期債券の買付余力のつもりで円高が進んだころに買ったのをほったらかしにしているものです。
現物株は安定性の高い有名大企業の割安株ばかりを選びました。自分に運がないのは重々承知してますので、リスクの高いギャンブルはしません。よって、短期売買にも信用取引(FX含む)にも手を出すつもりはありません。成長株は自分がニコニコ動画ユーザーなので申し訳程度にドワンゴ株をもっているのみです。そんな感じでハイリスクハイリターンを狙わないとはいっても、配当利回りだけ考えてもそのへんの銀行の「定期預金キャンペーン金利」の5〜10倍の利率(3〜5%)で、しばらくは超高利回りの定期預金のイメージでインカムゲイン目当て、また過去の実績を考えると景気が回復すれば株価もほぼ底値である現在の倍ぐらいになると見込まれるので、キャピタルゲインも期待しています。


インデックス運用の基本は「ストロングホールド」(買ったら何十年も寝かせておく)なんですが、ぼくは、少なくとも日本株式についてストロングホールドをやろうとは思いません。なぜなら、日本の今後の成長を信じていないからです。景気は回復する。でもそれ以上は無い。だから回復したところで手放す。そう考えて国内株式を買いました。
いくつかの本で「資本主義には経済成長をつづける宿命があるので、その成長性にかければよい」と、GDPや株価が多少の波はあれど総体として右肩上がりにどんどん伸びていくグラフが掲示され、いついつに比べて10倍になりました100倍になりましたとやっている“説明”がありますが、ぼくはこれは端的な「詐欺」であり、大きな問題点が二つあると思っています。*4
一つは、日本の経済成長は80年代バブル以後ストンと落ち込んで以来久しく止まってしまったように見えるにも関わらず、大戦直後、ひどいときには明治時代から線を引っぱって「ほら、成長してるよ」とする見せ方。そしてもう一つは、インフレが考慮されていないこと。GDPや株価がいくら伸びたって、同じぐらい物価が高くなったとしたら、それは「成長」でなくただの「インフレ」ですよね。*5


さらに日本の場合、もう一つ大きな悪材料があります。少子高齢化です。日本の景気は回復しない、もうイノベーションは起こらない、とぼくは思っているわけではありません。しかし、少子高齢化はそれを上回る“負債”なのではないでしょうか。「世代間倫理」の問題圏というのは、単なる思考実験なのではなくて、年金等々の問題も含め日本ではすでに目の前にある現実となっています。
年金問題に関してある人が「(高齢世代の)食い逃げ」と表現しているのを目にして、なるほど、と思ったことがありました。世代間倫理の問題が俗化するとこういう話になるんだな、と。そして、そんなところで「なるほど」と思ってしまう程度には、世代間倫理の問題が身近なトピックになってきたんだな、と。
ぼくの前職は福祉屋さんですので、高齢世代にコミットしたい気持ちがあります。福祉の現場で目にするのは、「食い逃げ」論が標的とするような“一部の”裕福な高齢者ではなく、切実にサポートを必要としている人々です。だから、「食い逃げ」論に対して「それが当てはまる裕福な人はほんの一握りだ(だからそんなに高齢者を攻撃するな)」と言う人たちの気持ちは理解できます。ただ、そういった反「食い逃げ」論の人たちには見えていないことが一つあります。そこにあるのは、本当に単なる「高齢者対若者」の図式なのでしょうか。これが「現在の高齢者対未来の高齢者」の政治闘争ではない、という保証はあるのでしょうか。
長寿は、ほんとうに寿ぐべきこと、なんでしょうか。

*1:次の記事を参考にしました。「ネット上で入手可能な、期待リターンとリスク、相関係数のデータ」、「第126回 リスクのデータを変えてみる(その1) | 山崎元のホンネの投資教室 - 楽天ブログ」、「長期投資予想/アセットアロケーション分析 ~ 投資信託のガイド|ファンドの海」。とはいえ、先の見通しの暗い日本について、過去のデータで何が言えるのか、という根本的な疑問はあるわけですが。

*2:今現在投資に使えるお金は6月上旬までにほぼ使い切ってしまったため現在様子見中なんですが、買っているあいだはどんどこマイナスが嵩んでいくので「底値、底値」と自分に言い聞かせていました。ここ最近ようやく含み益が出るようになってホッとしています。

*3:任天堂の株はあがるのがわかっていながら高すぎて買えなかったのが悔しいです(^^; ところでちょうど本日は、『逆転裁判』の生みの親・巧舟監督の新作『ゴーストトリック』の発売日です。楽しみ(^^)

*4:詐欺的な説明では例外なく「名目GDP」の推移の表が持ち出されてくるわけですが、本当に重要なのは「実質GDPの“成長率”(=経済成長率)」ですよね。だって、焦点になっている資産の増加については、それまでずっと「年利・利回り」ベースで議論されてきたわけですから、そうでないと話の整合性がとれないわけです。で、ここまでの話を裏づける統計をば。過去→「図録▽経済成長率の推移(日本)」、そして未来→「平成20年版 科学技術白書 第1部 第1章 2 中国、インドをはじめとするBRICs諸国の台頭−文部科学省」。日本オワタ\(^o^)/と思ったのはぼくだけでしょうか。

*5:たとえこれまでそうでなかったとしても、日本は現在GDPの倍ぐらいある900兆円の借金を抱えており、政府はそれを消費税の増税で解消するつもりですので、インフレは現に予定されているわけですし…。