Linuxのダメなところ

Linuxをメインマシンとして常用するようになって、以前と意見の変わったところがありました。
サブマシン、というかあまり触ることのないサーバマシンとして使用していたころは、「PCもってる人の多くはネットしかしておらず、一部が仕事のためにOfficeソフトも使ってるだけ。それなら別にWindowsじゃなきゃいけないことはないし、今のLinuxならGUIWindows(XP)以上に洗練されてるんだから、Linux使えばいいじゃん」と思っていました。
それが、実際にLinuxをメインPCとして常用するようになると、「やっぱりWindowsのほうがPCとして一日の長はあるんだな…」と。


実際にLinuxを常用するようになってわかったのは、Linuxはグラフィックスまわりが全然ダメだということ。
5年前に組んだWindowsマシンと、2年半前に組んだ(現状使用している)Linuxマシンの比較で、ベンチマークテストでなくただの自分の実感(主観)だけからの結論ですが。具体的にダメだと感じたことを書いてみますと、

  • DVDの再生がまともにできない。全画面化するとカクカク再生になる上、チャプターメニューが動かなくなるものがあるみたい。早送り・巻き戻しや倍速再生等のよくある機能も思うように動作せず。ナナオの画面モード自動変更機能*1とも連動させられないし。
  • YouTubeニコニコ動画の動画再生がまともにできない。DVDの再生と同じことが起こります。その他にも、再生しようとするとブラウザごと落ちることがけっこうあったり(ただの麻雀実況とか何でもない動画なのに)、コメントを打ち込もうとすると入力中の文字が表示されない等、いろいろ不便です。CPUがamd64なために、Flash Playerのインストール/アップデート自体に手間がかかる、というハンデもあります。
  • グラフィックカードのドライバ更新が死ぬほど大変。ドライバの更新でOS起動不可になったうえ前の状態に戻すこともできない、なんて当たり前のように起きる。直すのにほんと苦労しました*2Windowsでここまで大変な思いをした覚えはありませんが…

2chなどを見ていると、たまに「(Windowsより)Ubuntuのほうが速い」というレスを見かけますが、実際に使っている自分の実感からは「用途による」としか言えませんし、速いと言われている対象がPC向け機能であれば「むしろWindowsのほうがよい」と思います。
インフラエンジニアとしての実感を述べると、サーバ用途ではWindowsは話にならず、UNIX*3一択と思います。Windowsは機能もスピードも信頼性も段違いに弱い上、非機能要件であるところの「セキュリティ」対応に大きな負荷がかかるという、正直お荷物なOSと感じています。
しかし、これはあくまで「サーバ用途」に限った話。PC用途としては、ぼくの実感では、Ubuntuマシンの性能はムーアの法則*4からして1/3〜1/4ぐらいのスペックしかないWindowsマシンに劣っています。スペックよりもアルゴリズムのほうが性能に寄与するところが大きい、というのは仕事上よく理解しているところですが、この局面で正にそれがよくあらわれている、と思います。


その他、前のWindows PCに比べて今のUbuntu Linuxが劣っていると感じたことは、

  • 日本語変換ソフトが機能も変換精度も圧倒的に弱い。ぼくはATOKユーザなのでよけいにそう感じるのでしょうが、職場で使っているMS-IMEよりも明らかにダメだと思います。IMEもダメだダメだと言われながらそれなりに進歩してきたのでしょう。Wnn6やSKK程度で満足していた昔が懐かしい。
  • こまごました便利ソフトがない、またはあっても機能が弱い。Windows時代に多くの便利なフリーソフトのお世話になっていたので。AutoHotkey、XTMemo、CLCL、CLaunch、まめFile5、fenrir、ポチエス、FaderController、オートギア、Irvine、ID Manager等々。ただ、似たようなソフトが意外にあるもんだな、とも思ってはいます*5

以上のようなことから、「欲しけりゃつくれ」がモットーUNIX文化に比べてそれなりにユーザーフレンドリーになってきてはいますが、それでもPCとしてはまだまだかな、というのが今の自分の感想です。

*1:「ScreenManager Pro」という、現在アクティブなアプリケーションに応じて表示設定の変更を自動で行う機能。DVDプレイヤーがアクティブなときはDVD再生に合った画面モードに変更するとか、いくつか設定をしてました。

*2:最終的には「EnvyNG」というソフトを使用しました。これを使うと更新はひどく簡単になりますが、一方で当たるドライバが古いという難点もあります。ぼくの場合、買ってからずっとサーバマシンとして使用していたためにドライバがひどく古いままになってましたので、それでもバージョンアップにはなったのですが。

*3:Linuxは仕事ではRedHat Enterprise LinuxRHEL)を使用しています。LinuxといってもDebian系のUbuntuとは系統が別なので、触っている感じは「別のUNIX」といったところ。

*4:大雑把にいえば「PCの性能は一年半で倍になる」というintel創業者の話です。実際、PCのスペックはほぼこのとおりに進歩してきました。物理的限界が近づいているため、これから先も当てはまるかは不確実と考えられています。

*5:CLCL劣化版のglipper、XTMemo劣化版のTomboy、ID Manager劣化版のKeePassX等。機能が劣るとはいえ、ないよりは全然いいです。