ショートカット快適化計画(1)

一日一回はパソコンに触れるという人なら、WWWブラウザやメールソフトを始め、「常用しているソフト」というものがあるに違いありません。毎日いつも決まったソフトを、いつも決まったやり方で使っていることでしょう。
「いつも決まった」。
このフレーズが出てきたなら要注意です。決まった動作の繰り返し、これほど機械的なことはありません。コンピュータは基本的に「手を抜くための道具」だとぼくは考えています。機械的なことは機械に任せてしまえ。人間様の頭脳は、もっと高度な、想像力を発揮する仕事のためにあるんだから……。
そんなわけで、いろいろなことをいろいろなやり方でお手軽に実現するのがコンピュータの極意なのですが、とりあえずその基本中の基本として、「ショートカット」を快適にしたいと思いました。


ここでショートカットと言うのは、正式には「キーボードショートカット」と呼ばれるものですが、それは「ソフトの機能を、一連のキーボード操作に割り当てたもの」と言うことができます。……というような言い方をすると「何やら難しそうだな」なんて思われるかもしれませんね。そこでこれが実際どういうものなのか、例を挙げましょう。
WindowsXPを使っている方に限りますが、パソコンを使っている人の多くは、使い終わったら毎日パソコンの電源を切ってますよね。どんなふうにして切ってますか? 「おいおい、そんな当たり前のこと聞くなよ」なんて思われるでしょうけど。
多くの人は、画面の隅っこにある「スタート」ボタンまでマウスカーソルを持っていってクリックし、出てきたメニューにある「終了オプション」をクリックし、そうして今度は画面の中央に出てきたウィンドウから「電源を切る」をクリックして、電源を切っているはずです。
それでは、ぼくが今から述べるように、キーを叩いてみると ── 電源が切れてしまいます。いいですか。「Windowsキー、U、U」。
たった3回キーを叩くだけで、いちいちマウスを移動してクリクリしなくても、パソコンの電源を落とすことができます。慣れればほぼ一瞬です。知らない人の前でやったら手品だと思われました。これがハンドパワー……否、ショートカットの威力なんです。


マウスでの操作は、「見ればわかる」という“わかりやすさ”がありますが、一方で機能を実行するためにメニューをあっちこっち移動しなければならない“面倒くささ”もあります。
一方、キーボードでの操作は直観的ではありません。なんでパソコンの終了が「Win、U、U」なのか。そう決まっているから、としか言いようがありません。だからキーボードでのパソコン操作には、そのような「呪文を覚える」必要が、どうしてもあります。でも。毎日しょっちゅう行なっている操作なら、「呪文を覚える」コストが、マウス操作のコストからキーボード操作のコストを引いたものより、下回るということがありうるのです。なぜって、毎日やってるんだからチリも積もれば山となってしまうわけですよ。
文字を打つのにふつうキーボードを使っていることでしょうが、マウスを使ってだって字を打ちこもうと思えばできなくないんです。「ソフトウェアキーボード」というものがありまして、要するに図書館なんかに置いてあるタッチパネル式の端末みたいな感じでですね、画面上に「あ い う え お」とかボタンが並んでいて、それをマウスでクリックして入力するわけですよ。その面倒くささを想像しただけでも、キーボードの偉大さがわかろうってもんです。
今、「Win、U、U」でパソコンの電源が切れることをあなたは知りました。前から知ってたかもしれないけどそれは置いといて。で、それを知ってしまったあなたは、これからもマウスでクリクリやってく気があるでしょうか? 少なくともぼくにはありませんでした。だってショートカットのほうが簡単なんだもん。


実は、たいていのソフトには、このような「ショートカット」が設定されていて、マウスでメニューを選んでやっている操作をキーボードのボタン一発で行えるようになっています。毎日いつも同じソフトを使っているなら、そのショートカットを覚えることで、パソコンの操作がグッとラクになります。
ところが。この「ショートカットを覚える」というのが、今ひとつの問題なんですね。何かあるたびに、そのソフトの「ヘルプ」から「ショートカット」の項目を探して〜とやっているのは面倒ですし、その面倒さを乗り越えずにはラクにならないなら「別にいいや」と挫折してしまうこともありえます。ぼくなんかトリ頭だから、いちいち思い出さなくても手が勝手に動くレベルになるまでは、この操作にいつも煩わしい思いがします。
というわけで、このへんのことがもう少しどうにかならないか、ショートカットをいつでも簡単に参照できる方法がないか、と思って、ちょっと考えてみました。


つづく。