文系と理系で筆跡は違うのか

オトコの筆跡

というわけで、ぼくも「武蔵野市」書いてみました。字体として一番近かったのは一応8番。ただ、ぼくの場合はもっと字が躍っていて、全体的に7番のように一筆書きっぽくなるんですが。
しかし、このサンプル偏ってるなあ。何が偏ってるって、皆手書きなのに、「読める」じゃないですか。ぼくの知り合いには、書いた本人すら読めないような字の汚い人がたくさんいるんですけど。そういう汚い字を書くのって、基本的に「男」なんですよね。だから、

どうやら年齢や性別は文字とはあまり関係ないみたいです。

とありますが、少なくとも性別は、筆跡に関係があるとぼくは思ってます。その言い方を借りれば、「読めない字を書く人は男である可能性が高いとギリギリ言えそうです」*1

オトメの筆跡

そして、今回のチェックポイント。

ちなみにいかにも若い子が書きそうな2の文字は40代の女性のもの。

2番の字体は実際見てもらえたらと思いますが、リンクが切れてしまった場合のために簡単に説明しておくと、いわゆる「POP体」が微妙にヘタレた感じの字ですね。


ところで、「丸文字=若い女の子」というのは昔の人の発想です。


丸文字についての研究書、山根一眞『変体少女文字の研究』ISBN:40620207181986年、今から20年も前のこと。「変態」じゃなくて「変体」ですよ、そこんとこ注意してね。で、当時の「少女」がそのまま大きくなったら、今頃30〜40代でしょう。歳をとったって字体はそうそう変わるものではないわけで*2、今や丸文字は「中年女性の字体」なのです。
一方、今時のギャル文字は、ぼくの知る限りでは「たまごっち文字」とぼくが勝手に呼んでいる字体ではないかと思います。いや、初めて見かけたのがあの「たまごっち」のタイトルの書体だった*3のでそう呼ぶようにしたんですが(^^; 「ナール」に由来する大きな丸文字*4とは全然違い、微妙に小さく、微妙に角ばっており、微妙に細長くて、そしてヘタレているのがその特徴。知り合いにギャルがいたら字を書いてみせてもらってください。たぶん、そんな感じの字を書いてくれるはずですよ。

*1:余談ですが、昔、雑誌の投稿欄で、ぼくは水野良に「字がきれい」とほめられたことがあります。自分ではそんなにうまいと思ってないんですが、裏を返せば、それだけ字がヘタで読めないハガキの洪水に水野良は悩まされていたのではないでしょうか。

*2:ある人が「ミツコ」という名前を指して「いかにも若い子の名前」なんて言ったら今の人は驚くでしょう。でも、「ミツコ」とか「キヌヨ」みたいな名前が“若い女の子”の名前と考えられた時代はたしかにありました。なぜなら、そのもっと前の時代では女性は「おキク」とか「おトラ」とかいう名前だったんですから。あなたがどんなに悩んで自分の娘に“今風”の名前を付けたとしても、時が経てばその名前はいつか必ず中年そして老人の名前になっていくわけですよ(^^;

*3:「たまごっち」のHP http://tamagotch.channel.or.jp/ 参照。

*4:1970年頃に「ナール」という丸文字の書体が発明されて、『an・an』や『non-no』で盛んに使われたそうです。それがその読者であった少女たちの書き文字に伝染して、丸文字が一般化したと言われています。